野生のバナナやマンゴーが生える道を行き交う先住民たち。途中疲れれば、熟れて木から落ちたそれらを食べ、所々から湧き出る水を飲んでは乾きを癒す。
シェラネバダ山。コロンビア北部、カリブ海沿いに位置するコロンビア最高峰。そして沿岸部から伸びている山としては世界で最も高い5775メートルを誇る。自然豊かなこの山では、アルアコ、コギ、ウィワ、カンクァモの4つの先住民部族が、西洋文明の侵入に影響されながらも、昔ながらの文化を守りながら暮らしている。
山ろくの町から歩くこと3日。アルアコの村に辿り着く。鳥や虫が鳴き、東京のコンクリートの世界に慣れた者には、ここは桃源郷なのではないかと錯覚させる。アルアコたちは独特の民族衣装で身を包み、神聖なコカの葉を噛んで暮らす。
「私たちはこの山を世界の中心と信じ、この山を守ることで地球のバランスを保っているのです」
そう語るのは、この村に暮らすアルアコの一人。シェラネバダ山は古くから、先住民にとっては大切な生活の舞台であり、神聖な場所だった。しかし、時代の流れとともに西洋の文化が流れ込む。彼らの暮らしも貨幣経済の影響を受け、古くからの完全な自給自足の生活は今では見られなくなった。また、40年以上続く内戦の影響は彼らの暮らしにまで及び、この山はしばしば、ゲリラや右派民兵、コロンビア国軍の戦闘の部隊となっている。さらにコカインの密造を行う貧しい農民たちも、取締りから逃れるために山のより奥に入っていく。そしてコカ栽培に対して行われるコロンビア・アメリカ両政府による枯葉剤散布。世界の中心と言われるこの山の自然も、その枯葉剤によって破壊されようとしている。
桃源郷のような世界。それと調和して暮らすシェラネバダの先住民の暮らしもまた、貴重な存在だ。彼らは今日も世界の中心で、地球を守るために祈り続けている。
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