より良い暮らしを求めて地方からヨハネスブルグにやってくる者は多い。誰もが仕事を得られると期待している。しかし、実際に彼らが手に入れるものは、路上や草むらでの野宿生活だ。心ある人によって屋根のある場所を提供される運の良い者もいるが、それはごくわずかだ。ゴミ山の上で生活する者さえいる。発達したヨハネスブルグの高層ビル群が、より彼らの貧しさを際立たせる。
以前からヨハネスブルグに住んでいた者にとっても、この10年、暮らしに変化はなかった。アパルトヘイトという法律が撤廃されただけで、彼らの暮らしは一向に楽にならない。彼らは希望を持って、ANC(アフリカ民族会議)に投票し、黒人主導の政権が発足した。ANCはまさに彼らの希望の星だった。しかし今では、ANC幹部による汚職事件が新聞を賑わすなど、人々の期待を裏切る行為が目につく。経済回復の兆しもなかなか見えてこない。
ろくな食事にもありつけず、屋外で暮らす貧困層にとっては、これから寒くなるにつれ更なるつらい季節がやってくる。特に体の弱った者にとっては。
今年で60歳になるオリバーは疲れ切った目をこちらに向けて言った。
「俺たちの政党(ANC)が雇用拡大、貧困撲滅と言って何が変わったっていうんだ。俺たちは10年以上前からずっと苦しんでいるんだ。アパルトヘイトが終わって、政府は"みんな自由だ"と言った。自由っていうのは、こういうことなのか。」
全人種参加の選挙から10年。町には「10 years of democracy」の文字が見える。自らつかんだその民主主義の中で、彼らが今の暮らしから抜け出す日は、やってくるのだろうか。
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